荘川桜2世の
樹勢回復プロジェクト
歴史を繋ぐ桜の保全対策
1960年、ダム建設による水没の危機から大規模な移植手術によって救われた、樹齢400年以上の名桜「荘川桜」。その「自然を大切にする心」を後世に伝えるため、実生から苗木が育成され、全国各地に贈呈されたのが「荘川桜2世」です。
今回、私たちが担当させていただいたのは、とある施設内に植栽され、地域交流の象徴として親しまれてきた荘川桜2世の保全対策です。
現状の診断:失われつつあった活力
調査の結果、この荘川桜2世は近年、樹勢の衰退が顕著になっていました。樹木医による詳細な樹木診断を実施したところ、以下の課題が浮き彫りになりました。
- 根株の腐朽:ベッコウタケの発生により、根元・幹に腐朽が進行
- 生育環境の悪化:植栽地がアスファルト舗装を含む造成植栽地であり、さらに土中には過去の工事による砕石やコンクリート殻が混入
- 枝の危険性:梢端部の枯損や大枝の亀裂が生じており、落枝の危険性あり
保全対策:土壌から枝先までのトータルケア
樹勢を回復させ、将来にわたって美しい姿を維持するため、2026年1月に包括的な保全作業を実施しました。
1. 根系の再生を促す土壌改良
樹冠の投影範囲に沿ってトレンチ(溝)を掘削し、砂壌土に有機質堆肥や竹炭を混入。硬く締まり、異物が混入していた土壌を、根が伸びやすい柔らかな環境へと改善しました。掘削時に傷んでいた根については、鋭利な刃物で切り直し、殺菌保護剤を塗布する処置を施しています。
2. 安全性を確保する枯枝切除とケーブリング
落枝を防ぐため、枯死した枝を適切に切除しました。また、樹勢回復に必要な大枝を維持するため、一部腐朽が見られた大枝に対して樹木の成長を妨げない樹脂製サポートシステム「コブラ・ツリーケーブリング」を採用し維持保存。枝が折損した場合の地上への落下を防止し、周囲の安全を確保しました。
未来に向けて
作業中、一部のエリアでは土壌環境が良好で、力強く伸びる根も確認できました。これは、この桜がまだ再生する力を十分に持っている証です。
私たちは今回の処置を「一度きりの工事」とは考えていません。今後も継続的なモニタリング調査を行い、開花状況や樹体の変化を観察し続けることで、荘川桜2世が再び満開の花を咲かせ、人々に愛される象徴であり続けるようサポートしてまいります。
写真:ダム建設から救われた荘川桜(親木)の満開の姿。荘川桜2世はこの桜の実生から育てられました。
(写真提供:荘川桜についての公開資料より引用)
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